AccScan
延命・注意

ウイルス対策ソフトでAccessが遅い・壊れる?除外設定の考え方

リアルタイムスキャンが.accdb/.laccdbに干渉してAccessが遅くなるケースがあります。フォルダ・拡張子・プロセスの3種類の除外設定の考え方と、Defenderでは除外が定期スキャンにも適用されるなどセキュリティ上の注意点をバランスよく解説します。

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結論:リアルタイムスキャンがロック競合を引き起こすことがある

ウイルス対策ソフトのリアルタイムスキャンが、Accessのファイル(.accdb)や ロックファイル(.laccdb)に対してI/Oを監視する場合、Accessの書き込みや 読み取りと干渉して速度低下が起きることがあります(当社実務での経験。 Access固有の公式資料はなく、仕組みの詳細は後述します)。 除外設定で症状が改善するケースがありますが、除外はセキュリティ上のトレードオフを 伴うため、安易に設定するものでもありません。

なぜリアルタイムスキャンがAccessに影響するのか

Accessの.accdbファイルは、データの読み書きを1つのファイルで行う構造です。 複数のユーザーが同時に使う場合、Accessは同じフォルダに.laccdbという ロックファイルを自動作成し、誰がどのレコードを使っているかを管理します (Microsoft Learn: Lock filesの説明)。

このロックファイルは、ユーザーがデータベースを開いたときにエントリが書き込まれます。 ユーザーが閉じても、そのユーザーのエントリは直ちに消去されず、別のユーザーが 接続したときに上書きされることがあります。最後のユーザーが閉じると、原則として .laccdbファイル自体が削除されます (Microsoft Learn: Lock filesの仕様)。 ウイルス対策ソフトのリアルタイムスキャンが.laccdbや.accdbに対してI/Oを監視している場合、 Accessがこれらのファイルを操作するタイミングと干渉することがあります(当社実務での経験)。

Microsoftは、データベースファイルに対するウイルス対策スキャンについてSQL Serverの 公式ガイドで「除外設定によってファイルがロックされなくなり、パフォーマンスが 向上する場合がある」と述べています (Microsoft Learn: Configure antivirus software to work with SQL Server)。 これはSQL Server向けのガイドであり、Accessに適用されるかどうかの公式資料はありません。 ただし当社の実務では、ウイルス対策ソフトを導入した後にAccessの動作が遅くなったという 相談を受け、除外設定で改善したケースを経験しています。

起きやすい症状と確認方法

リアルタイムスキャンによる影響は、次のような形で現れることがあります。

症状考えられる原因
Accessを開くときだけ極端に遅い起動時の.accdb読み込みをスキャンが遅延させている
複数人で使うと遅くなる(1人では速い)ロックファイル操作とスキャンが干渉している可能性がある(当社実務上の仮説)
「使用中です」「他のユーザーが開いています」と出て開けないスキャンによるファイル占有と重なっている可能性がある
セキュリティソフト導入後から症状が出た導入タイミングと一致する場合は原因として疑う
まれにファイルが破損するウイルス対策ソフトが遠因になっている可能性がある(断定はできない)

確認の一つの方法として、リアルタイムスキャンを短時間だけ無効にしてAccessの動作を 比較することがあります。速くなった場合、ウイルス対策ソフトが一因になっている 可能性が浮かびます(ただし、無効化によって他の監視機能も同時に変わるため、 これだけで原因を特定するのは難しく、参考程度に考えてください)。 無効にしている間はセキュリティが下がるため、短時間で終わらせてすぐに元に戻してください。

除外設定の考え方とセキュリティ上の注意点

症状がリアルタイムスキャンに起因すると判断できた場合、除外設定を検討することに なります。ただし除外は「スキャンしない」ことを意味するため、対象ファイルへの マルウェア感染の検知が低下します。除外する範囲は必要最小限にとどめることが基本です。

除外の単位は大きく3種類あります。

除外の種類対象の例注意点
フォルダ除外Accessファイルを置いているフォルダ(共有フォルダ含む)フォルダ全体がスキャン対象外になるため、他のファイルも守られなくなる
拡張子除外.accdb、.laccdb、.mdb、.ldb拡張子を偽装したマルウェアを検知できなくなるリスクがある
プロセス除外msaccess.exe(AccessのプロセスによるI/Oを除外)製品によって設定方法が異なる。設定できない製品もある

当社の実務経験では、.laccdb(ロックファイル)の除外だけで症状が落ち着くケースが あります。除外の範囲を絞りたい場合、.accdb本体より.laccdbを先に試すという アプローチがあります。ただし、拡張子ベースの除外は端末上の同拡張子ファイル全体に 適用される製品もあるため、特定のパスやフォルダで限定できる場合はその方が望ましいです。 設定できる除外の種類は使用しているウイルス対策製品の仕様を確認してください。

一方、「スケジュールスキャン(定期スキャン)をAccessを使っていない時間帯に実行する」 という運用もあります。ただし、Windows DefenderなどではファイルやフォルダをAV除外設定に 追加すると、リアルタイムスキャンだけでなく定期スキャンや手動スキャンにも除外が 適用されます。「除外しても定期スキャンで補完できる」とは一概にいえないため、 使用するウイルス対策製品の仕様を確認してください。

除外設定のセキュリティ面では次の点も整理しておく必要があります。

  • 除外したファイルにマクロ型マルウェアが仕込まれた場合、AVによるファイルスキャンでの 検知機会が低下します(製品によっては挙動監視やEDR等の別機能が働くこともあります)。 前述のとおり、製品によっては定期スキャンにも除外が適用されるため、ネットワーク層での 対策(UTM・ファイアウォール)との組み合わせや、ファイルへのアクセス権の最小化など 別の補完策を検討してください。
  • Accessファイルへの書き込み権限が不特定多数に開放されている環境(共有フォルダに誰でも 置けるなど)では、除外の範囲を広げることのリスクが上がります。ファイルサーバーの アクセス権を整理してから除外設定を検討する順番が望ましいです。
  • サポートが切れたAccess 2016/2019を使っている場合、Access本体の脆弱性に対する セキュリティ更新はすでに提供されていません(2025年10月14日に延長サポート終了済み)。 セキュリティソフトの除外設定だけでリスクを語ることには限界があります。 この状況の全体的なリスク管理についてはサポート切れAccessのセキュリティ対策も参照してください。

除外設定はあくまで「困っているから一時的に試す」ものとして扱い、IT部門やセキュリティ 担当者と共有したうえで実施することをおすすめします。個人の判断で組織全体のウイルス対策 製品の設定を変えることは避けてください。

破損との関係

ウイルス対策ソフトによるAccessファイルの破損については、Access固有の公式資料に 記述がなく、因果関係を確定的に述べることはできません。当社の実務では、ウイルス対策ソフトの 導入や定義ファイルの更新後から破損が出はじめたという相談を受けたことがあります。 ただしこれは時系列上の相関であり、直接の原因と断定できるものではありません。

「ウイルス対策ソフトだけが破損の原因」とは言えません。当社経験では、破損の多くは ネットワーク切断や強制終了が引き金になっており、ウイルス対策ソフトの影響は あったとしても誘因の一つにとどまるケースが多いという印象です。 繰り返す破損の予防についてはAccessファイルが破損する7つの原因と予防の運用ルールをあわせて参照してください。 破損が起きてしまったあとの対処はAccessファイルが破損したらで解説しています。

なお、ウイルス対策ソフトの除外設定をすれば破損が完全に防げるわけではありません。 共有フォルダでの利用やネットワーク環境に起因する問題が残っている場合、症状は 続きます。除外設定はあくまで要因の一つを取り除くだけです。

共有環境での動作確認の優先度

Accessをファイルサーバーの共有フォルダに置いて複数人で使っている構成では、 ウイルス対策ソフトの除外設定より先に確認すべき点がいくつかあります。

  • ファイルサーバー側のリアルタイムスキャンが.accdbを常時スキャンしていないか (クライアント側は設定しても、サーバー側の除外設定を忘れていることがある。当社実務での経験)
  • DB分割(フロントエンド/バックエンド)を実施しているか。未分割のaccdb1つを 全員で直接開く構成は、スキャンとは別にネットワーク負荷の問題を抱えています (Accessが複数人で使うと遅い・壊れる原因と対策参照)
  • バックアップ運用が整っているか。除外設定を試す前に、直近のバックアップが 取れている状態を確認しておくことが安全策です

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よくある質問

Q. ウイルス対策ソフトを除外設定すれば、Accessが速くなりますか。

リアルタイムスキャンが原因の場合は改善する可能性があります。ただし、すべての 速度低下がウイルス対策ソフトによるものではありません。Accessファイルの肥大化や ネットワーク環境、DB構成の問題で遅くなっているケースも多く、除外設定だけで 解決しないことがあります。

Q. .laccdbファイルは除外設定してもよいですか。

.laccdb(ロックファイル)はAccessが共有利用時に自動作成するファイルで、 ユーザーがデータベースを開いたときにエントリが書き込まれます。ウイルス対策ソフトの スキャンがこのファイルに干渉する可能性があるため、拡張子ベースで除外する ことを試す場合があります。ただし組織のセキュリティポリシーと照らし合わせて 判断してください。個人の判断で変更する前に、IT担当者に確認することをおすすめします。

Q. ウイルス対策ソフトが原因かどうか、どうやって確認しますか。

リアルタイムスキャンを短時間だけ無効にしてAccessの動作を比較するのが、 簡単な確認方法です。無効中はセキュリティが下がるため、検証は社内で完結する 操作のみにとどめ、すぐに再有効化してください。タイミングが取れない場合は ウイルス対策製品のベンダーにAccess環境での設定相談をするのも一つの方法です。

Q. 除外設定をするとマルウェアに感染しやすくなりますか。

除外対象のファイルはAVスキャンによる検知が低下します。製品によっては(Windows Defenderなど)、ファイルや拡張子の除外設定はリアルタイムだけでなく定期スキャンや 手動スキャンにも適用されるため、「除外しても定期スキャンで補完できる」とは限りません。 ネットワーク層での対策(ファイアウォール・UTMなど)との組み合わせや、 ファイルへのアクセス権を最小化することが現実的な補完策です。 インターネットや外部メールから受け取ったAccessファイルをそのまま開く運用がある場合、 そのファイルが除外対象に含まれていると感染リスクが上がるため注意してください。

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