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属人化

Accessを作った担当者が退職する前に|引き継ぎでやるべき8つのこと

退職・異動前に在職中しか確認できない情報がある。VBAパスワード・外部連携パス・暗黙の例外手順など8項目を優先度順に整理。引き継ぎが間に合わなかった場合の対処法も解説します。

まずは、自社のAccessが「解析できるか」を無料で確認できます。

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結論:在職中にしか聞けないことがある

Accessを作った担当者の退職・異動が決まったとき、最も困るのは「動いているから大丈夫」と思って何もしないまま送り出してしまうケースです。本人が社内にいる間しか確認できない情報は確かに存在し、一度いなくなると復元に何倍もの手間がかかります。

この記事では、引き継ぎで押さえるべき8つのチェック項目を優先順に整理します。全部を完璧にこなすのは難しいかもしれませんが、上位から順に対処するだけでも、引き継ぎ後のリスクはかなり変わります。

なお、担当者がすでに退職していて誰も中身を説明できない状況にある場合は、引き継ぎよりも先に現状把握が課題です。その場合はブラックボックス化したAccessの解析手順をご覧ください。

引き継ぎ前に確認すべき8項目

以下のチェックリストは、当社が引き継ぎ支援で使う確認項目をベースに整理したものです(当社実務基準)。「本人に直接確認しないと分からないもの」を上位に置いています。

優先度確認項目なぜ在職中でないと困るか
1VBAパスワードの有無と解除方法記録がなければ退職後の正規な確認・復旧が困難になる
2起動パスワード・ユーザーレベルセキュリティの設定Access本体とデータへのアクセス手段を失う
3外部連携先(Excelファイル・共有フォルダ・ODBC)のパスと認証情報リンクが切れてもどこを直せばいいか分からない
4月次・年次の例外処理と担当者の暗黙の操作手順担当者への聞き取りや実演なしでは把握しにくい
5フォームやレポートの印刷設定・接続プリンター特定のプリンターに紐付いている帳票は移行後に動かないことがある
6最後に改修した箇所と未完成の処理途中で止まっている機能は動かした瞬間に壊れることがある
7バックアップの場所・頻度・復元手順バックアップの存在自体が担当者だけに伝わっているケースがある
8Accessのバージョンと動作確認済みのPC環境特定のPC・Officeバージョンでしか動かない場合がある

項目別の確認ポイント

1〜2:パスワード系は最優先で記録する

VBAのパスワードは、ツール→VBAProjectのプロパティ→保護タブで設定する仕組みです。担当者がロックをかけていると、退職後はコードを読めなくなります。当社の支援では、コードが読めないaccdeファイルと同様の問題として扱います。まず「VBAにパスワードがかかっているか」を確認し、かかっていれば解除またはパスワードの文書化を最初に行います。

Accessファイル自体の起動パスワード(accdbを開く際に求められるもの)と、Access 2003以前のファイル形式で導入されたユーザーレベルセキュリティ(.mdwファイルによる認証)も別物として扱う必要があります。ユーザーレベルセキュリティは.accdb/.accde形式では利用できませんが、古い.mdb/.mde形式のファイルでは現行Accessでも引き続き機能します。.mdb形式のシステムを引き継ぐ場合、ワークグループ情報ファイル(.mdw)の場所と管理者パスワードを確認する必要があります。

3:外部連携のパスは退職前に棚卸しする

AccessのリンクテーブルがExcelファイルや共有フォルダ上のCSVを参照している場合、そのファイルパスがハードコードされていることがあります(当社実務基準)。担当者のPC固有のパス(C:¥Users¥担当者名¥...)を参照していると、PC環境が変わった瞬間にエラーになります。

「リンクテーブル マネージャー」(「外部データ」タブ内)を開くと、すべてのリンク先ファイルパスを一覧で確認できます。退職前にこの画面のスクリーンショットを残しておくだけでも、後から追跡する手間が大きく変わります。ODBCで外部データベースに接続している場合は、接続文字列・ドライバー名・認証情報も別途記録が必要です。

4:暗黙の手順こそ口頭で引き出す

「月初に〇〇テーブルのフラグを手動でリセットしてから処理を走らせる」「年度末は別フォルダにaccdbをコピーしてから開く」といった手順は、当社の支援経験ではマニュアルに書き起こされていないケースが目立ちます(当社実務基準)。当社の支援では、担当者に業務カレンダーを見ながら「年に一度しかやらない操作」を月ごとに聞き出す手法をとっています。

引き出した内容は、口頭確認後に担当者本人に文字で確認してもらうのが確実です。「合ってますか」と一言送るだけでも、記憶の誤りや漏れを防げます。

5〜6:印刷設定と未完成処理は動かして確認する

Accessのレポートは、特定のプリンターに依存したページ設定が保存されていることがあります。在職中に別PCで実際に印刷して確認しておかないと、PC環境が変わった後で初めて問題が発覚します。

未完成処理については「動かすと何が起きるか」を在職中に担当者立ち会いで確認します。当社の支援では、ナビゲーションウィンドウに「Temp_」「Old_」「Test_」から始まるオブジェクトが残っていないかを最初に確認します(当社実務基準)。これらは削除できるものと、削除すると壊れるものが混在していることがあります。

7〜8:バックアップとPC環境は書類として残す

バックアップが取れている企業でも、「どこに」「どの頻度で」保存されているかを書面で残していないケースが当社の支援経験では目立ちます(当社実務基準)。バックアップの場所・世代数・最終復元テストの日付を1枚にまとめておくだけで、担当者交代後の安心感が変わります。Access標準のバックアップ機能と運用設計については延命中のAccessを守るバックアップ設計で詳しく解説しています。

動作確認済みPC環境(WindowsバージョンとビットOS、Officeバージョン・ビット数、専用ドライバーの有無)も、引き継ぎ書類に1行で残します。32bit Officeと64bit Officeでは一部のActiveXコントロールの動作が変わるため、環境が変わった際にすぐ切り分けられる情報として価値があります。

引き継ぎで「残すもの」と「作るもの」の区別

引き継ぎに際して、担当者がゼロから仕様書を書こうとすると時間がかかりすぎて実現しないことが多いです。当社の支援では、「残すもの」と「作るもの」を分けて考えることを勧めています(当社実務基準)。

区分内容優先度
残すものパスワード・パス・環境情報など「知っていれば終わる情報」高(在職中でないと取れない)
残すもの口頭手順・例外処理の動画や画面録画高(ツールは問わない)
作るものテーブル一覧・フォーム一覧の概要(Database Documenterで出力)中(退職後も作れるが時間がかかる)
作るものフルの仕様書・ER図低(理想だが在職中に完成させるのは非現実的)

フル仕様書の作成は「できれば」の話です。引き継ぎ期間が短い場合は、パスワードと例外手順だけでも文書化できていれば、引き継ぎ後の混乱は大幅に減ります。最低限何を文書化すべきかについてはAccessの最低限の文書化も参考にしてください。

担当者がいなくなった後に発覚しやすい問題

引き継ぎが不十分だった場合、退職後に最初に発覚するのは次のような問題です。当社への相談で多い順に並べています(当社実務基準)。

  • 月次締め処理を走らせたらエラーが出て止まった(例外処理の手順が伝わっていない)
  • PCを新しくしたらAccessが起動しない(特定のランタイムや32bitドライバーが入っていない)
  • 担当者しか知らないフォルダにaccdbが別バージョンで保存されていた(複数コピー問題)
  • VBAを修正しようとしたらパスワードがかかっていて読めない
  • 帳票を印刷したら文字切れ・レイアウト崩れが出た(プリンター依存の設定)

担当者が退職してしまった後で「中身を解析してほしい」というご相談は、当社では一定数あります(当社実務基準)。その場合はAccess属人化のリスクと脱・属人化の進め方で対応策を整理しています。

引き継ぎが間に合わない場合の次の手

退職まで時間がなく、十分な引き継ぎができなかった場合でも、手段はあります。Accessファイル内の設計情報(テーブル・クエリ・フォーム・レポートの構造)は、担当者の説明なしに解析できます。パスワードで保護されていないaccdbであれば、Database Documenterで全オブジェクトの設計情報を出力し、オブジェクトの依存関係ウィンドウでテーブルやクエリの参照関係をたどることが可能です。ただしオブジェクトの依存関係ウィンドウはマクロやコードモジュールには対応していないため、VBAを多用するシステムでは別途コードを読む作業が必要です。

解析が自社でできそうか判断したい場合は、無料の解析可否チェックからお問い合わせください。VBAパスワードやaccde形式など、解析の制約になる要素を事前に確認できます。

よくある質問

Q. 引き継ぎ期間が2週間しかありません。何から始めればいいですか。

まずパスワード類(VBAパスワード・起動パスワード)と外部連携のパス一覧を取ることを優先してください。記録がなければ退職後の確認・復旧が困難になるため、ここだけは在職中に片付けます。次に「月初と月末にしかやらない操作」を口頭で聞き出して録画または箇条書きで記録します。仕様書の作成はその後で構いません。

Q. 担当者に「仕様書を書いてほしい」と頼んでも断られました。

フル仕様書の依頼は担当者への負担が大きく、当社の支援経験では断られるケースが少なくありません(当社実務基準)。その場合は「操作手順の動画を撮らせてほしい」「リンクテーブル マネージャーを一緒に開いてほしい」といった、個別の小さな依頼に切り替えると協力を得やすくなります。また、Database Documenterの出力は担当者の作業なしに引き継ぎ担当者が自分で取れます。

Q. Accessを作った人が退職後でも、中身を把握することはできますか。

できます。設計情報はAccessファイルの中に保存されているため、担当者の記憶に頼らずに構造を読み解けます。ただし、VBAパスワードやaccde形式の場合は読める範囲に制約が生じます。解析の可否はブラックボックス化したAccessの解析手順をご覧いただくか、無料チェックでご相談ください。

Q. 引き継ぎ資料はどこに保存するのが安全ですか。

パスワードなど機密情報を含む引き継ぎ資料は、Accessファイルと同じ場所には置かないことをお勧めします。別の管理者権限が必要な共有フォルダか、パスワード管理ツールへの格納が現実的です。Accessファイル本体のバックアップとは保存場所を分けることも重要で、詳しくはAccessのバックアップ設計で解説しています。

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