OneDrive・SharePoint上でAccessを共有してはいけない理由
accdbをOneDriveやSharePointから開いて使うとデータが壊れたり複数コピーが生まれる理由を解説。同期の仕組みとAccessのロックファイルが衝突するメカニズム、正しい共有方法(LAN+DB分割)、バックアップ保管先としての使い方を整理します。
結論:accdbはOneDriveやSharePointから「開く」のが問題です
先に結論を書きます。OneDriveやSharePointにaccdbを「保存しておく」ことと、そこから「開いて使う」ことは、まったく別の話です。Microsoftの公式ドキュメントは、OneDriveやSharePointのドキュメントライブラリからAccessファイルを開くことをはっきりと非推奨としています。対象はaccdb、accdc、accde、accdrを含む全形式です。一方、閉じた状態のバックアップファイルの保管先としてならクラウドも選択肢になります。この区別を知らずに使うと、知らない間に複数のコピーが生まれたり、予期しない動作が起きたりします。当社では、このような状況がデータ不整合につながり得ると判断しています。
なぜ同期フォルダからの起動が問題になるのか。Accessのロックファイルの仕組みと同期ソフトの動作がぶつかるからです。以下で順を追って説明します。
Accessが共有時にロックファイルを使う仕組み
Accessはファイルサーバー型のデータベースです。複数人が同じaccdbに同時アクセスするとき、データの競合を防ぐためにロックファイル(拡張子.laccdb)を使います。accdbを共有モードで開くと、同じフォルダに同名の.laccdbファイルが自動で作られ、最後の1人が閉じると自動で消える仕組みです(Microsoftのロックファイル解説)。排他モードで開いた場合はロックファイル自体が作られません。
このロックファイルは、誰が今どのレコードを使っているかをAccessが把握するためのものです。書き込み競合が起きたとき、Accessはここから相手のコンピューター名やセキュリティ名を読み取り、エラーメッセージに表示します。ロックファイル自体が壊れても、通常データベース本体の動作には影響しませんが、競合メッセージの文字化けなど不具合の原因になります。
Microsoftが具体的な挙動として公式に説明しているのはSharePointのドキュメントライブラリの場合で、ファイルがローカルへダウンロードされ編集後に再アップロードされること、複数人が同じファイルを開くと複数のコピーが作られて予期しない動作が生じ得ることが挙げられています。OneDriveについても、これらの場所からAccessを開くこと自体が公式に非推奨とされています。当社では、こうした同期と書き込みの競合がAccess本来のロック管理と噛み合わず、データの不整合につながり得ると判断しています。
公式が指摘する具体的なリスク
Microsoftの共有方法ドキュメントには2つのリスクが明記されています。
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 複数コピーの生成 | 複数人がSharePointから同じaccdbを開くと複数のコピーが作られる場合があり、予期しない動作が起こり得る(公式原文:"multiple copies of the database might be created and some unexpected behavior might occur") |
| ダウンロード・再アップロードの発生 | ファイルがローカル編集用にダウンロードされ、保存後に再アップロードされる場合がある(公式原文:"The file might be downloaded locally for editing and then uploaded again after you save your changes") |
「複数コピーができる」という問題は特にやっかいです。複数の利用者がそれぞれのPCにローカルコピーを持ち、それぞれに別々のデータが書き込まれた状態になると、どのコピーが正しいかを特定することが困難になります。それぞれのコピーに入力されたデータを手で突き合わせて統合するのは、規模によっては現実的でない作業です。
ロックファイルについても補足が要ります。Accessのロックファイルが正しく機能するには、フォルダへの読み取り・書き込み・作成の権限が共有利用者全員に必要で、閉じるときに削除するためには削除権限も要ります(Microsoftのロックファイル解説)。Microsoftが案内する共有方法はLAN上の共有ネットワークドライブです。OneDriveやSharePointの同期フォルダでこれらの権限要件が満たされるかどうかは、個別に確認する必要があります。複数人で使うと遅い・壊れる原因もあわせてご覧ください。
正しい共有方法:LAN上のファイルサーバーとDB分割
複数人でAccessを共有するなら、LANのファイルサーバー上の共有フォルダに置いて各自がアクセスする方法が基本の形です。必要な権限と安定したLAN環境を前提に、Microsoftが案内する共有構成として利用できます。
そのうえで、DB分割(フロントエンド/バックエンド)を組み合わせると安定性が上がります。テーブルだけを持つバックエンドをファイルサーバーに置き、フォームやレポートを持つフロントエンドは各自のPCで動かす構成です。ネットワーク越しに転送するデータ量が減るため動作が軽くなり、フロントエンドを個別にアップデートしやすくなります。なお、バックエンドのフォルダには引き続き全共有利用者の読み書き・作成権限が必要です。
なお、Microsoftのドキュメントには「accdbをOneDriveやSharePointに保存することはできる」とも書かれています。公式が非推奨としているのは「その場所から開くこと」であり、保存自体は否定していません。この記載を踏まえ、当社では閉じた状態でのバックアップ保管用途に限定して使うことを検討の余地があると考えています。その場合も同期の完了確認と復元テストは必要で、復元時はそのままOneDriveから開くのではなくファイルサーバー上にコピーしてから使ってください。バックアップ全般の設計については延命中のAccessを守るバックアップ設計をご覧ください。
「同期を一時停止すれば大丈夫」は通用しません
「使う間だけOneDriveの同期を止めればいい」という回避策を試みる方がいますが、当社ではおすすめしていません。理由は2点です。
1つは運用の問題。同期の一時停止を毎回確実に行う運用は、属人化しやすく、停止し忘れたときのリスクが残ります。特に複数人で使う場合は、全員が同じタイミングで停止・再開を徹底するのは現実的ではありません。
もう1つは根拠の問題。確認したMicrosoft公式資料(2025年11月8日時点)では、同期の一時停止によって安全になるとの記載は確認できませんでした。Microsoftが非推奨としているのはその場所から開くこと自体であり、当社では、安全性が確認されていない前提に業務データの安全を委ねる運用はおすすめしていません。
現在のAccessファイルがOneDrive上に置かれていて移動が難しい、あるいはファイルサーバーがない環境であれば、ファイルの状態や構造を把握することが先決です。無料の解析可否チェックで、今のファイルを解析できるかどうかだけ先に確かめられます(ファイルの送信は不要です)。
よくある質問
Q. SharePoint上のAccessフォームをブラウザで使うのも危険ですか。
SharePoint OnlineのAccess Services(Access Web Apps)は、新規作成が2017年6月に停止され、2018年4月までに既存のアプリも削除されています(Microsoftのロードマップ案内)。SharePoint Onlineのブラウザ画面でAccessのフォームを直接動かす機能は現在ありません。ブラウザで業務フォームを使いたい場合はPower AppsやWebシステムへの移行が必要です。
Q. バックアップをOneDriveに保存するのも非推奨ですか。
Microsoftの非推奨は「OneDriveやSharePointから開いて使うこと」に対するものです。閉じた状態で保管するだけなら、公式ドキュメントでも「保存は可能」としています。当社では、保管中にAccessで開かない運用を守ることを前提に、閉じたバックアップの保管用途に限定して使うことを検討の余地があると考えています。同期が完了しているかの確認と復元テストは必要です。復元時は、OneDriveのフォルダからそのまま開いて使い始めるのではなく、ローカルのファイルサーバー上にコピーしてから使ってください。
Q. accdbが1つしか使われていない(1人利用)ならOneDriveでも大丈夫ですか。
1人でしか使わない環境でも、Microsoftは同場所からの起動を全形式に対して非推奨としています。共有利用ほどの頻度で問題が起きるかは断言できませんが、公式が全形式を対象として非推奨としている以上、「1人だから大丈夫」とは言い切れません。当社では、1人利用でもOneDriveから直接開く運用はおすすめしていません。「今まで動いていた」は「これからも安全」の根拠にはなりません。もし既に問題が起きているなら、Accessファイルが破損したらも参照してください。
Q. Teamsのチャンネルフォルダに置いたaccdbは?
TeamsのチャンネルフォルダはSharePointのドキュメントライブラリと同じ場所に保存されます。OneDriveとSharePointへの公式非推奨がそのまま当てはまりますので、同様の理由で避けてください。
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