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Access移行前の業務フロー調査|何を・どう洗い出すか

Access移行で最も躓きやすい「移行前の業務フロー調査」の実務手順を解説。4要素(入出力・帳票・業務ルール・属人仕様)の洗い出し方、帳票の見落とし防止、属人化したVBAロジックの可視化まで当社の実務ノウハウをまとめました。

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結論:移行前の業務フロー調査は「聞いて回る」だけでは終わらない

当社の経験では、Access移行のプロジェクトで躓きやすいのは、設計や実装よりも「移行前の調査」の段階です。ヒアリングで業務担当者に「どんな入力をしていますか」と聞いても、出てくるのは通常処理だけで、例外手続きや月次限定の操作はなかなか出てきません。

業務フロー調査の目的は「現行システムの画面をすべて洗い出す」ことではなく、「新システムで再現すべき業務ルールを確定させる」ことです。この2つは似ていますが、アウトプットが全然違います。以降では、当社が実際に使っている調査の進め方を具体的に解説します。

調査で明らかにすべき4つの要素

業務フロー調査では、次の4点を明らかにすることを目標にします。当社の経験では、Accessの画面を確認するだけでは3番目と4番目が見落とされやすい要素です。

要素具体的に把握する内容見落としやすい理由
①入出力の流れ誰が・いつ・何の画面で・何を入力し・何を出力するか担当者ごとに操作が微妙に違うことが多い
②帳票と連携Accessから出力される帳票の種類、Excelや外部システムとのデータ連携帳票は「あって当然」として語られないことが多い
③業務ルールと例外通常フローへの上書き・月次・期末のみの処理・特定顧客への特例担当者が「当然のこと」として口頭で対応しており資料化されていない
④属人化した仕様VBAに埋め込まれた計算ロジック、暗黙のデータクレンジングルールシステムの外側で行われている手作業と組み合わさっている

ヒアリングの進め方:「業務の流れを語ってもらう」より「画面を操作してもらう」

ヒアリングの場で「普段どんな業務をしていますか」と聞くと、担当者は頭の中の整理された業務イメージを話します。実際の操作と少しずれていることが多い。当社では、担当者に実際のAccessを操作してもらいながら、その場で確認する進め方を取っています。

操作を見ながら確認するポイントは以下です。見ているだけでなく、都度「これは毎回やりますか」「例外はありますか」と掘り下げます。

  • どの画面を開くか(フォーム名・起動手順)
  • 入力するデータの種類と、入力時に参照している別の資料や画面
  • クエリや帳票をどのタイミングで実行するか
  • エラーが出たときの対処(これが例外ルールの宝庫)
  • 業務終了後に行う手作業(Excelへのコピペ・印刷・メール添付など)

1業務に30〜60分かけて、画面操作を録画する(担当者の同意のもとで)と後から確認しやすくなります。録画を見返すと、本人が「当たり前」として説明しなかった操作が見つかることもあります。

帳票の洗い出し:「印刷ボタン」を全部押してみる

帳票は、当社の経験ではAccess移行で見落とされやすい要素です。「レポートが3つある」と聞いていたのに、調査してみると12種類の帳票が出てきた、という話は珍しくありません(当社実務より)。

レポートオブジェクトとして管理されているものだけでなく、次のパターンも確認します。

  • クエリ結果をExcelにエクスポートして手作業で整形している帳票
  • VBAが直接ExcelファイルやWordテンプレートを生成しているケース
  • AccessのフォームをそのままPDF印刷している画面
  • 定期的に出力してメール添付している一覧表

帳票の確認では、書式そのものと、誰が・いつ・何の目的で使うかを合わせて記録します。同じ内容でも「経理に提出」と「顧客に送付」では、移行先の要件が変わる場合があります。

属人化した仕様の可視化:VBAを「読む」のではなく「試す」

長年稼働してきたAccessには、VBAに計算ロジックや判定条件が埋め込まれていることがあります。それが業務ルールとして定着していても、担当者は「システムがやってくれている」としか認識していないことが多い。

当社では、VBAのコードを読むだけでなく、実際のデータで動作を確認することを重視しています。「この計算式はどこから来ているのか」「この条件分岐はどんな業務ルールを反映しているのか」を担当者に逆確認する作業です。担当者の回答と、コードの動作が食い違っていたとき、どちらが「正しい業務ルール」かを判断しなければなりません。

属人化の問題は、このコンテキストを持つ担当者が退職・異動した後に一気に深刻化します。移行プロジェクトは業務フロー調査と並行して属人化の棚卸しも進めると、後工程の手戻りを減らせます。詳しくは属人化の危険度と脱・属人化の進め方で解説しています。

調査結果を「業務フロー資料」にまとめる手順

ヒアリングと画面確認が終わったら、調査結果を資料に整理します。当社が使っているのはシンプルな構成です。業務名・担当者・頻度・入力元・画面/操作手順・出力先・例外ルール・備考を1業務1行で記録するスプレッドシートが基本です。

これに加えて、業務の前後関係(Aの処理が終わらないとBができない、など)を図で整理すると、新システムの設計担当者に伝えやすくなります。複雑なフローほど、言葉では伝わらないことがあります。

資料を作る際に意識するのは「移行後に再現すべきか判断できる粒度で書く」ことです。「顧客番号を入力する」ではなく「顧客番号入力時に存在チェックを行い、未登録なら警告ダイアログが出る」まで書いて初めて設計に使えます。

当社の支援経験では、業務フロー資料の完成度が要件整理の進めやすさに影響します。Access移行の7ステップで説明している「ステップ3:要件整理」が滞る主な原因の一つが、この段階の調査の浅さです。

当社では、専用の質問に答えていくだけで業務フロー資料の骨格を作れる仕組みを用意しています。「何から始めればよいかわからない」という段階でも、無料の解析可否チェックから現状確認と相談ができます。

よくある質問

Q. 業務フロー調査は社内だけで進められますか。

通常フローの洗い出しは社内で進めることができます。ただし、VBAに埋め込まれた計算ロジックや帳票の生成処理、外部システムとの連携部分は、Accessの構造を読める技術者と合わせて確認した方が漏れが少なくなります。最初の棚卸し(フォーム・レポートの一覧と利用頻度)を社内でやっておくと、その後のヒアリングがスムーズに進みます。

Q. 仕様書がまったくない場合はどこから始めますか。

Accessのナビゲーションペインからオブジェクト一覧(テーブル・クエリ・フォーム・レポート・マクロ・VBAモジュール)を書き出すところから始めます。標準機能のDatabase Documenterを使うと定義情報をまとめて出力できます(Access 2007以降)。そのリストを持って担当者に「これは今も使っていますか」と確認していくと、現役の機能と死んでいる機能を分けられます。詳しくはブラックボックス化したAccessの解析手順も参照してください。

Q. 担当者が「自分しか知らない操作がある」と言っています。どう対処しますか。

その担当者が在職中のうちに動画で操作を記録するのが最善です。操作の記録に合わせて「その手順の意味・背景」を口頭で説明してもらい、文字に起こします。VBAパスワードや外部ファイルのパスなど、在職中でないと確認できない情報は別途チェックリストで確認します(退職前の引き継ぎでやるべきこと参照)。

Q. 調査から要件整理まで、どのくらい時間がかかりますか。

Accessのフォーム数・業務の複雑さ・担当者の数によって大きく変わります。当社の実務感覚では、フォーム10本以内・業務担当者2〜3名の規模であれば、ヒアリング2〜3回と資料整理を合わせて3〜4週間で終えられることが多いです。帳票の洗い出しが後から増えたり、例外業務の確認が追加になったりすると伸びます。移行プロジェクト全体のスケジュールについてはAccess移行が失敗する典型パターンも参考にしてください。

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