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AIが作った設計資料は鵜呑みにしない|人が見る5つの観点

AI生成の設計資料に起こりがちな間違い(ハルシネーション・推測での補完・例外業務の欠落・古い情報)を整理し、人がレビューすべき5つの観点をチェックリスト化。AIで速く・人で正確にという『AI一次整理+人の確認』の考え方を、Access移行の実務に沿って解説します。

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結論:AIが作った設計資料は「下書き」。人が5つの観点で確認してから使う

AIに要件定義や業務フロー、画面仕様の下書きを作らせると、作業は速くなります。ただし、出てきた資料をそのまま設計や見積の根拠にするのは危険です。AIの出力には、もっともらしく見えて事実と違う部分が混ざることがあるからです。だから当社では、AIが作った資料は「下書き」と位置づけ、人が決まった観点で確認してから使う、という体制を取っています。

この記事では、AI生成ドキュメントで起こりがちな間違いと、人がレビューすべき5つの観点を整理します。AIを使わないという話ではありません。速さはAIに任せつつ、間違いを人が止める——その線引きをはっきりさせるための記事です。

なぜ、AIの資料を鵜呑みにできないのか

いちばんの理由は、AIが事実に反する内容をもっともらしく書くことがあるからです。これは「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる、生成AIの既知の性質です。存在しない仕様や、間違った数値を、自信ありげな文章で出してくることがあります。文章として自然なぶん、読み手は気づきにくくなります。

もう一つは、AIが「材料になかったこと」を推測で埋める点です。業務フローや要件のドラフトを作らせると、こちらが与えていない手順まで、それらしく補ってくることがあります。さらに、AIが学習した時点より後の変更(サポート終了日や仕様の更新など)は反映されていないことがあり、古い前提のまま書かれる場合もあります。これらはAIの使い方が悪いというより、生成AIというものの性質です。だからこそ、人の確認を前提にした使い方が要ります。

人がレビューすべき5つの観点

当社が、AI生成の設計資料をチェックするときに見ている観点は、大きく次の5つです。

観点何を確認するか
1. 事実の裏取り数値・日付・仕様・固有名詞が実在するか。出典に当たれるか
2. 推測で埋めた箇所与えた材料になかった手順が、推測で紛れ込んでいないか
3. 例外業務の欠落正常系だけで書かれ、例外・エラー時の扱いが抜けていないか
4. 情報の鮮度古い前提で書かれていないか。最新の仕様・期限と食い違わないか
5. 判断・優先順位人が決めるべきこと(優先度・予算)をAIが勝手に決めていないか

1の「事実の裏取り」は、特に数値と日付で気をつけます。たとえばAccessのサポート期限は、AIが古い情報のまま書くことがあります。実際にはAccess 2016とAccess 2019の延長サポートは2025年10月14日で終了しており(Access 2016Access 2019の各Microsoft Lifecycle)、この種の期限を資料に書くときは、必ず公式のライフサイクル情報で確認します。

2と3は、当社がAIの下書きで最も多く手を入れる部分です。AIは話がつながるように書くのが得意なので、材料になかった手順を足したり、逆に厄介な例外業務を省いたりしがちです。「この手順、本当に元の資料にあった?」「例外のときはどうなる?」を、現場の人と突き合わせて確認します。例外業務をどう扱うかの考え方はAIと作る要件定義のたたき台でも触れています。

5は、見落とされがちですが重要です。AIは「どれを先にやるべきか」まで、それらしく順位を付けてくることがあります。しかし、何を優先するかは予算や経営判断が絡むので、人が決めることです。AIの提案は参考にとどめ、決定は人が引き取ります。

レビューを「仕組み」にする

この5観点は、頭で覚えておくより、チェックリストにして毎回通すほうが漏れを減らしやすくなります。AIの下書きを受け取ったら、5つの観点で赤入れしてから次工程に回す、というルールにしておくと、担当者が変わっても品質を安定させやすくなります。

大事なのは、レビューを個人の心がけにしないことです。「AIが作ったものは一度人が確認する」という工程を、作業手順そのものに組み込んでおく。そうすれば、忙しいときに確認が飛ばされて、推測交じりの資料が独り歩きする事態を防ぎやすくなります。ヒアリング録音からドラフトを作る場合の未確認リストの扱いはヒアリング録音からAIで業務フローの下書きを作る方法にまとめています。

Access移行での「AI一次整理+人の確認」

当社がAccess移行の現状把握でAIを使うときも、この体制は変わりません。テーブルやVBAの情報、画面のスクリーンショット、ヒアリングの内容——こうした材料をAIに一次整理させて、要件や業務フローの下書きを速く作ります。そのうえで、5つの観点で人がレビューし、移行相談用の資料に仕上げます。

AIに任せるのは、あくまで「散らかった情報を、いったん形にする」ところまでです。実在しない仕様が紛れていないか、長年の運用で積み上がった例外が抜けていないか、サポート期限のような事実が古くないか——ここは人が見ます。画面や帳票の材料を集める具体的なやり方はスクショ×AIで設計ガイドを作る手順As-Is/To-Be業務フローの書き方で解説しています。

AIで速く、人で正確に。この組み合わせが、移行の手戻りを減らす近道だと考えています。現状の資料づくりから相談したい場合は、無料の解析可否チェックからお問い合わせください。

よくある質問

Q. AIの精度が上がれば、人のレビューは要らなくなりますか。

精度が上がっても、当面は必要だと考えています。AIの間違いが減っても、そもそもAIに与えていない情報(社内の暗黙のルールや、口頭でしか共有されていない例外)は、AIには判断のしようがありません。事実かどうかの最終確認や、優先順位の判断は、人が担う部分として残ります。

Q. どこまでレビューすればいいか、線引きが難しいです。

影響の大きい部分から優先するのが現実的です。数値・日付・金額のように間違うと直接損害につながる箇所と、例外業務のように抜けると後で作り直しになる箇所を先に見ます。文章表現の細かい調整は後回しでかまいません。

Q. AIが「出典はこちら」と示してきたら、信じていいですか。

その出典自体が実在するか、必ず開いて確かめてください。AIは、それらしいURLや文献名を作ってしまうことがあります。リンクが開けるか、書かれている内容が本当にその主張を裏づけているかまで見て、初めて出典として使えます。

Q. レビューにも時間がかかるなら、AIを使う意味はありますか。

白紙から書く時間と、下書きを直す時間を比べると、後者のほうが速いことが多いです。ゼロから作るのではなく、たたき台を評価して直す形にできるのが、AIを使う利点です。ただし「速くなった時間で、確認を丁寧にやる」くらいの心づもりでちょうどよいと考えています。

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