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Access移行のRFP・要件定義書の作り方|発注前に整理すべきこと

Access移行を外部発注する前に用意するRFP(提案依頼書)の9項目と書き方を解説。要件が固まっていなくても出せる形、帳票・外部連携の見落とし防止、費用比較しやすい情報の出し方を当社の発注支援実務から整理します。

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結論:RFPは「完璧な要件定義書」でなくてよい

Access移行を外部に発注しようとすると、「要件定義書を出してください」と言われて手が止まる担当者は少なくありません。当社への相談でも「何を書けばよいかわからない」「要件が固まっていないと発注できないのでは」という声をよく聞きます。

結論から言うと、最初のRFP(提案依頼書)は整っていなくてかまいません。発注側が用意すべきなのは「現状の把握情報と移行の目的」であり、機能の細部は開発側と一緒に詰めていくものです。ただし、最低限の情報が揃っていないと相見積もりの比較が難しくなり、提案の質も下がります。このページでは、当社が発注支援で使っているRFPのたたき台と、盛り込むべき情報の具体的な中身を解説します。

RFPに必要な9項目

Access移行のRFPに最低限含めておきたい情報を整理します。すべてが確定していなくても、わかっている範囲で書き、不明な部分は「現在調査中」と明記するほうが、「詳細は打ち合わせで」とだけ書くより誠実です。

項目書くべき内容不明な場合の代替
①現行の課題なぜ今移行を検討しているか(サポート終了・人数増加・速度限界など)「サポート終了が契機」程度でも可。背景は省かない
②移行の目的と優先順位速度改善・同時利用・帳票品質・保守容易性など何を最優先するか「優先順位未確定」と書き、打ち合わせで整理する旨を明記
③現行機能の一覧フォーム数・テーブル数・帳票数・主な業務区分(受注/経理/在庫 等)Access標準機能のナビゲーションペインから一覧を書き出す
④データ量と利用人数ファイルサイズ(MB)・主要テーブルのレコード件数・日常的な利用者数概算でよい。「約○人・約○万件」程度の表現で可
⑤帳票の一覧Accessから出力する帳票の種類・枚数・受け渡し先(社内/社外/行政)「印刷ボタンを全部押してみる」方法で洗い出す(後述)
⑥移行範囲の考え方全面移行か段階移行か・継続利用する機能はあるか「検討中」でよいが、段階移行の可否だけは明示する
⑦外部連携の有無Excelエクスポート・他システムとのデータ連携・メール自動送信などVBAのコードや処理名を列挙するだけでも手がかりになる
⑧予算感と納期予算の上限または目安・稼働を希望する時期(Access 2021は2026年10月13日にサポート終了予定)幅でも可。「200〜400万円程度・2026年夏までに稼働」など
⑨保守・運用の希望稼働後の保守を依頼したいか・社内で担当できる体制があるか「社内対応が難しい」だけでも明記する価値がある

帳票と外部連携は「見落とし」が費用を膨らませる

当社の移行支援経験で言うと、RFPの段階で最も見落とされやすい項目が帳票と外部連携です。「帳票は3種類」と聞いていたのに、調査を進めると12種類あった、という話は珍しくありません(当社実務)。発注後に発覚すると追加費用になりやすい箇所です。

帳票の洗い出しには、Accessのナビゲーションペインからレポートオブジェクトを一覧化するだけでなく、次のパターンも確認します。

  • クエリ結果をExcelにエクスポートして手作業で整形している資料
  • VBAがExcelファイルやWordテンプレートを直接生成しているケース
  • AccessのフォームをそのままPDF印刷している画面
  • 定期的に出力してメール添付している一覧表

帳票は「誰が・いつ・何の目的で使うか」を合わせて記録しておくと、移行先の要件が変わる場合に対応しやすくなります。詳しい洗い出し方法は業務フロー調査の記事で解説しています。

「丸投げ」がなぜ失敗するか

「Accessの中身を見てもらえればわかると思います」という状態で発注すると、開発側は現行Accessを読み解くところから時間とコストをかけることになります。これ自体は当社でも対応できますが、問題になるのは「業務ルール」の部分です。

VBAのコードには計算ロジックや条件分岐が埋め込まれていますが、それが「現場の業務ルールとして正しいのか、それとも過去の経緯でできたものか」はコードだけでは判断できません。発注者側で業務ルールを確認する担当者がいないまま開発を進めると、要件の確定に時間がかかり、テスト段階で「こんな動きじゃない」という差し戻しが増えます。

当社の実務では、丸投げ型の発注よりも、発注者側に「このAccessで何を達成しているか」を話せる担当者が1人いる案件のほうが、工期も費用も安定しています。その意味で、RFPを書く作業自体が、社内の認識を整理する機会になります。

Access移行プロジェクトの失敗パターンの詳細はAccess移行が失敗する5つの典型パターンでまとめています。

要件が固まっていなくても出せるRFPの書き方

「まだ移行先も決まっていない」「社内で何を移行するか整理できていない」という段階でも、RFPは出せます。その場合は「提案依頼書」というより「現状調査を含む提案依頼」として、次の構成で出すのが実際的です。

  • 現行Accessの概要(フォーム数・帳票数・ファイルサイズ)
  • 移行の検討背景(なぜ今か)
  • 移行後に実現したいこと(ゴールイメージ)
  • 予算感と希望納期の目安
  • 「移行先の選定を含む提案を求める」旨の明記

これを受けた開発会社が「現状解析」を提案に含め、解析結果をもとに移行範囲と費用を提示する、という流れになります。解析可能かどうかを事前に確認しておくと、提案内容の比較がしやすくなります。無料の解析可否チェックから現状確認が可能ですので、RFPを出す前の参考情報として活用してください。

移行先の選定判断についてはAccess移行先の比較記事も参考にしてください。また、依頼先の選び方は依頼先選びのチェックリストで整理しています。

費用見積もりを比較しやすくする情報の出し方

複数社に見積もりを依頼する場合、情報の出し方が揃っていないと比較が難しくなります。当社が見積もり比較を支援するときに確認するポイントは以下です。

  • 現行Accessのフォーム数・帳票数・テーブル数を同じ基準で提示する
  • 移行の対象範囲を「全部」か「このフォームまで」かで明示する
  • データ移行の対象テーブルと件数目安を示す
  • 並行稼働期間(新旧両方を動かす期間)を設けるかどうかを決めておく
  • 保守契約を移行費用に含めるかどうかを明確にする

範囲が曖昧なまま複数社に出すと、A社は「帳票再設計込み」B社は「帳票は別途」という見積もりが届き、金額だけ比べても意味がない状態になります。見積もりの前に、少なくとも「移行の対象と対象外の境界」を1枚の表にまとめておくことを当社ではすすめています。

費用の相場観についてはAccess移行費用の相場と見積もりの取り方で整理しています。

よくある質問

Q. RFPと要件定義書は違うものですか。

RFP(Request for Proposal、提案依頼書)は「こういうことをしたい、提案してほしい」という依頼文書です。要件定義書は「こういう機能を作ってほしい」という仕様の確定文書で、発注前に作成する場合も、RFP提出後に発注者・開発会社が共同で詳細化していく場合もあります。当社のAccess移行支援では、まずRFPを出してもらい、発注後に発注者と一緒に要件を詳細化していく進め方を採ることが多いです。

Q. Accessの仕様書がありません。RFPを出せますか。

仕様書がなくてもRFPは出せます。その場合は「現行Accessの解析を提案スコープに含めてほしい」と明記し、フォーム数・ファイルサイズ・利用人数などの概要情報を添えてください。解析を前提とした提案を出してもらうことで、その後の要件整理がスムーズになります。

Q. 移行先がまだ決まっていません。RFPに書けますか。

移行先が未決定でもRFPは出せます。「kintone・Power Apps・Webシステム・SQL Server連携など、業務内容に合った移行先の提案を含めてほしい」と明記すれば、各社の強みを踏まえた提案が届きます。移行先の候補の比較は先に自社で整理しておくと、提案の評価がしやすくなります。

Q. 予算が決まっていない場合はどう書けばよいですか。

「予算は現在未定、まず現状解析と概算費用の提示を求める」という形で出すことができます。ただし、「300万円以内に収めたい」「1,000万円超の案件は対応できない」などの上限だけでも示すと、受け取る側は提案の方向性を絞りやすくなります。上限だけ書いて「詳細は相談」という出し方は、実務上よく使われています。

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